1枚のTシャツを通して、フェミニズムについて考えてみた。
ニューヨークで “フェミニストTシャツ” を着てみて思ったこと
9月にニューヨークを訪れた際にフェミニスト関連の広告や商品を街中でたくさん見かけたという話は、以前姉が「1年ぶりにニューヨークを訪れて気づいた6つのこと。」で書いています。
かつては気難しくて怒りっぽい、怖い、男性嫌いなどマイナスなイメージを持たれていたフェミニスト。私自身も、今まで学校できちんと教わったわけでも勉強したことがあったわけでもなかったけれど、なんとなくフェミニストに対してネガティブな印象がありました。
しかし、ニューヨークのフェミニズムブームを目の当たりにして、フェミニズムの思想がどれだけ人々の日常に浸透してきているのかを肌で感じることになったのです。
今回のニューヨーク滞在中にフェミニズムに興味が湧いてきた私はマンハッタンのロウワーイーストサイドにある「Otherwild」というショップで「The Future is Female(未来は女性にあり)」と書かれたTシャツを見つけ思い切って購入してみました。
このTシャツは、1970年代に「The future is Female」と書かれたTシャツをミュージシャンであるAlix Dobkinが着ており、このモットーに賛同したOtherwildの設立者がデザインし直して販売したのが始まりだそう。
そして購入した翌日、早速そのTシャツを着てみることに。自分の胸に書かれた言葉の意味を理解できる人たちの中でそれを着て歩くことは、私にとっては少し勇気がいることでした。ニューヨーカーたちに批判されたり、唾を吐かれたりしないだろうかと。(考えすぎ?)
でも意外なことに、街の人たちの反応はとてもポジティブなもので、男性も女性も「Nice Shirt!」とか「I love your T-shirt!」などとたくさん声をかけてくれたのです。
帰国後には日本でも同じTシャツを着て出かけてみましたが、それほど緊張したりすることはなく、気軽な気持ちでした。なぜなら日本では、まだフェミニズムに対する関心度が低い上に、メッセージTシャツを単なるデザインの一部として見ている人の方が多いからです。
日本で着る時は「ただのプリントTシャツ」であるTシャツがニューヨークで着るとなるとたちまち「意味を持ったTシャツ」に変わるんですよね。フェミニストTシャツを着てニューヨークの街を歩くことは、「私はフェミニストです!」と宣言しながら歩くのと同じことです。
私はニューヨークのフェミニストブームとこの1枚のスローガンTシャツを通して、海外ではフェミニストがクールでイケてるものとして捉えられるようになってきていることを確信しました。
しかし一方で最近では、”フェムバタイジング” を批判する声もあります。フェムバタイジングとは、「Feminism(フェミニズム)」と「Advertising(広告)」を掛け合わせた造語のこと。確かにフェミニストを売り物にして儲けようという考えはどうかと思うけれど、このトレンドがフェミニズムを “自分ごと” として意識するきっかけになってくれたのは事実です。
私自身、これまでフェミニズムという言葉を聞いたことはあっても、他人事のように聞き流していただけでした。これはきっと私だけではないはず。たとえ賛同であっても批判であっても、このブームをきっかけに多くの人がフェミニストについて関心を抱くようになったことは大きな進歩ではないかと思うのです。
自分なりに考えを深めていくうちに、私はフェミニズムの定義には「男女平等」という考え方があることを知りました。男性を敵視して女性だけの権利を主張するわけではなく、男女ともに我慢を強いられることなく自由に生きていける男女同権社会を主張しているところにとても魅力を感じています。
もっと多くの日本人がそのことを知れば、日本でのフェミニストに対する視点も変わってくるのではないでしょうか。
すでにフェミニスト=クールという考えが浸透してきている欧米では、ミレニアル世代向けの雑誌にコスメやファッションネタと並んでフェミニズムの記事が掲載されていたりするほど、フェミニズムについて語ることはカジュアルなものになっています。フェミニストという言葉を知っているだけに留まらず、もっと気軽に意見を言い合える場が日本でも増えていけば良いなと思います。